ふだんなにげなく目にしている漢字にも、本当はコワ〜イ意味がこめられているものがあります。
「馘首」といえば、日本ではクビになること。リストラといおうとなんといおうと、クビはクビですよね。もちろん、これでもじゅうぶんコワイですが(^^;)この字の本来の意味は、『説文解字』によると、古代中国において、戦争のとき、殺した敵の首をいちいち斬るのは大変だし、かさばるから、とゆ〜実に合理的(?)な理由で、左の耳だけ切って代わりにすることなのだそうです。想像するだにおそろしい…。たしかに数えるのは楽でしょうが、なかには無関係な民間人の耳まで切って、戦功を水増ししようとするあくどいヤツもいたんじゃないのかなあ?
もちろん、中国ではこの字に「解雇」という意味はなく、現在ではほとんど使われないそうです。こんなオソロシイ字をお気楽(?)に転用してしまうあたりに、日本人と中国人の言語感覚のちがいがあらわれているのかもしれません。
参考文献:陳舜臣・陳謙臣『日本語と中国語』(徳間文庫) |